「新幹線殺傷事件の容疑者が自閉症?」報道に過剰反応する人々

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2018年6月、東海道新幹線で3人の死傷者が出た事件がありました。

この報道をする際、「容疑者は自閉症?」と、容疑者の発達障碍について指摘し、あたかも自閉症と事件を結び付けたような表現に、各所から苦情の声があがっています。

 

今回は、この事件の報道を取り巻く意見について、思うことを書いていこうと思います。

東海道新幹線殺傷事件の「容疑者は自閉症?」報道について

この事件は最初に「容疑者は自閉症?」と、発達障碍と事件を結び付けるような報道をされました。

しかし、各所から非難の声が続出!

 

 

次の日の報道からは、容疑者が自閉症疑いだという内容は、意識的にしないようにされていたと感じます。

これを報道した毎日新聞は、表現についてお詫びの文章をネット上に載せています。

 

毎日新聞は2018年6月11日、東海道新幹線で男女3人が殺傷された事件の記事に「誤解を与える不適切な表現であり、おわびします」などとお詫びの文章を自社のニュースサイトに掲載した。
当初「容疑者自閉症?」との見出しにしていたが、後に削除した。お詫び文では「障害と事件が関係するような表現になっていた」としている。

引用:https://www.j-cast.com/2018/06/11331082.html?p=all
参照:J-CASTニュース

 

私も、「容疑者に発達障害があるという報道がされている」と耳にした時、こう思いました。

 

「え!?やめてくれない?」

 

マスコミが発達障碍について大した知識を持たず、ただ事件との関連性を匂わすような報道をすることに、憤りすら感じました。

「自閉症はいつ事件を起こすかわからない」みたいな偏見が生れたらどうしてくれるんだと。

 

私も、あの報道に過剰反応をしたうちの1人です。

自閉症スペクトラムの息子がいるから、妙な偏見を世間が持ったら困ると心底思いました。

 

自閉症の子供を持つ親が見た新幹線殺傷事件とは?

「あ、私のように怒ってる人がいる。世の中そう捨てたもんじゃない」

認知が広がる時、同時に偏見が生れるものですが、インターネットで広く情報が集められる今、自閉症や発達障碍の理解を深めようとしてくれる人は、世の中にいるもんだなと安心しました。

 

しかし、自閉症の子供を持つ親は、誰もが私のようにお気楽ではないようです。

私が登録している会員制の障碍児を持つ親の掲示板では、新幹線殺傷事件に対して、意見は大きく2つに割れていました。

 

  • 私と同じく、「マスコミが軽々しく報道することで偏見が生れたら困る!」という意見
  • 「我が子も将来犯罪者になるかもという不安を感じて他人事には思えない」という意見

 

発達障碍は多種多様です。

育児に困難さを感じ、それでも我が子のために愛情を注ぎ、療育などに力を入れて頑張っている親もいます。

そうやって我が子のために努力を惜しまないのに、発達障碍ゆえに理解しえない点があると、強い不安を感じるのだそうです。

 

他害、自害、癇癪、暴言など、発達障碍から起こる問題が改善しないと、「うちの子はこのまま大人になったら、もしかして誰かに危害を加えてしまうのではないか」と、恐怖心を感じると言うのです。

そして、容疑者の両親に対して、「気持ちがわからないでもない」と、共感すらしています。困難な育児に直面した人にしか、きっとわからないことがあるのでしょう。

 

これって、自分とは違う存在への恐怖心なのかなぁ…。

自分と思考回路や精神状態が違う我が子を理解できないのが、きっと恐いんだろうね。

 

一方、私と同じように「偏見が恐い」というタイプは、そこまで悲観的ではありません。

 

診断されるくらいなので、当然何かしらの困難さを抱えている子供を育てているはずですが、「愛情を注いだ子供と、親に放棄され親権を移された容疑者とは決定的に違う」と言い切る自信があります。

 

私も、自閉症スペクトラムの息子、そして定型児の娘を育てていて、「この子たちが将来犯罪者になるかも」なんて微塵にも思ったことはありません。

むしろ、上の子は女の子なので「犯罪に巻き込まれないか」を心配し、息子の場合は前方不注意なので「事故にあうんじゃないか」を心配しています。

 

このような考え方は「我が子が犯罪者になるかも」と危機感を持っている人には理解不能のようです。「どうして根拠ない自信があるのか。我が子は犯罪を犯さないと言い切れるのか」と言うのです。

 

でも、我が子を信じるのに根拠など必要でしょうか。

 

私は、もしも自分の親が「犯罪者にならないようにしなければ!」と考えているとしたら、それはすごく辛いです。

だって、信頼ゼロじゃん。自分が親を苦しめているみたいじゃん。何かやらかすと思って、そうならないように必死にする育児って、何が楽しいんだろう。

 

きっと相容れぬ2者の意見なのでしょう。

 

「我が子が犯罪者になってもおかしくない」と思っている親も、我が子のことはとても愛しいのです。愛しいからこその不安なのかもしれません。

 

新幹線殺傷事件の容疑者が自閉症?という報道について思う事

この報道の何が一番ダメだったかって、事実を確認しているわけでもないのに、曖昧に「自閉症?」と謳い、発達障害ブームと言われる世の中の注目を浴びようという目論見を感じてしまう事。

 

不確かさ爆発だから、「何やってんだ」「どういうつもりだ」と世間が怒るんです。

しっかりと事実確認した上で、発達障碍や自閉症について正しい知識と情報を提供していれば、ここまでの騒ぎにはならなかったのではないかと思います。

 

また、発達障碍かもしれない人が殺人事件を起こしたことに、「うちの子もそうなったらどうしよう」と思う人に対しても、過剰反応だなと思います。

 

なぜ「発達障碍」という言葉が出ただけで、こんなにも不安になっているんだろう。世の中には、発達障碍や自閉症じゃない人が起こす事件がゴロゴロしているのに。

 

まぁ、私だって「やめてくれよ」と過剰反応しましたが…。

 

結局、この事件の報道で何が分かったかというと、発達障碍や自閉症の認知が世の中に広まりつつあるという事実だと思います。

認知が広がり、注目度が高いからこそ、マスコミは「自閉症」「発達障碍」という言葉を選んでいるのです。

今後、益々発達障害の認知は広がっていくでしょう。

 

私はたまたま息子が自閉症スペクトラムと診断され、発達障碍が身近な存在になりましたが、知れば知るほど「発達障碍と定型の境目」がわからなくなります。

 

でも、私は息子の未来を悲観したくありません。

 

だって、育児なんて楽観的に考えないと、辛くなるだけだもん。

 

息子の、そして娘の未来は明るいと信じています。

根拠がなくてもね!

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