
私の息子は自閉症スペクトラム。現在5歳年中さんで、週1回通年療育に通っています。
息子が自閉症スペクトラムと診断されたのは、4歳年中の秋でした。
診断を受ける際、私はかなり真剣に悩みました。
「自閉症スペクトラムの診断は、果たして息子の将来にどう影響するのか」
子供に発達障碍の可能性が見つかった時、きっと多くの親が考える事だと思います。
そこで今回は、子供が自閉症スペクトラムの診断を受けるメリットとデメリットをお話します。
と言っても、医師や心理士からの受け売りなんですけどね。
Contents
自閉症スペクトラムとは?
自閉症スペクトラムとは、発達障碍の中の1つです。
では、発達障碍とはなんなのでしょうか?厚生労働省のHPでは、発達障碍(自閉症含む)について、このように説明しています。
「発達障害」とは?
生まれつきの特性で、「病気」とは異なります。
発達障害はいくつかのタイプに分類されており、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害、吃音(症)などが含まれます。
これらは、生まれつき脳の一部の機能に障害があるという点が共通しています。同じ人に、いくつかのタイプの発達障害があることも珍しくなく、そのため、同じ障害がある人同士でもまったく似ていないように見えることがあります。個人差がとても大きいという点が、「発達障害」の特徴といえるかもしれません。引用:https://www.mhlw.go.jp/kokoro/know/disease_develop.html
出典:厚生労働省
あ、吃音も発達障碍のくくりなんだ…。今知った…。(うちの息子吃音持ちでSTも通っています。)
上記の中で自閉症スペクトラムと言われるのが、「自閉症」「アスペルガー症候群」です。
しかしながら、ADHD、学習障害単独のみの発達障碍は少なく、多くが自閉症スペクトラムと併発した状態で症状が現れます。これは、療育センターの勉強会で聞いた話です。
では、自閉症スペクトラムとはなんぞや?という話ですが、療育センターに通ってようやく何となくわかってきた私です。
先日行われた療育センターの勉強会では、自閉症スペクトラムをこのように説明していました。
- 自閉症スペクトラムとは生まれながらの特性である
- 個性と特性の差は、生活上に生じる「困り感」である
- 著しく生活に支障が出て医学的に診断されたものが発達障碍である
- 医師からの診断だけではなく、受給者証や障碍者手帳が交付された場合、行政上で障碍と認められたことになる
要は、自閉症スペクトラムとは「生まれながらの特性や気質のせいで、生活に困難さが出ていますよ~」という状態なんです。
生まれながらの特性や気質なんて、誰もが持ち合わせているものですよね。でも、
困難さが顕著に出なければ、それは「個性の範囲内」で片付きます。
しかし、自閉症スペクトラムの3大特性「社会性の欠如」「コミュニケーション力の欠如」「インスピレーションの欠如」のように、社会に馴染むのに難しい特性があると、個性では収まらなくなります。
そこで、必要性に応じて医学的、行政的に診断されたものが発達障碍であり、自閉症スペクトラムなのです。
自閉症スペクトラムの診断を受けるメリット
発達障碍とは生まれつきの特性で、「病気」とは異なる。
この「生まれつき」という文字に絶望した人は多いのではないでしょうか。
生まれつき=治らない
そんな印象を強く受けますよね。私も最初はそう思っていました。
しかし、療育医センターでは自閉症スペクトラムについてこう説明しています。
- 診断名は独り歩きするわけではない。
- 診断名は一生ついてまわるものではない。
え?そうなの?
私は、息子が自閉症スペクトラムと診断されたら、一生どこまでも診断名が付いて回るものだと思っていたんです。
だから、息子が自閉症スペクトラムだと医師から言われた時、正式に診断するかどうかとても悩みました。
「発達障碍の診断があると、将来的に保険に加入できないリスクがある」と小耳にも挟んでいたので、「将来家のローンが組めないのは、一家の主としていかがなものか?」と、心配したりもしました。
当然その不安を医師に質問しました。「自閉症スペクトラムの診断があると、将来的に保険が入れない可能性はありますか?」と。
この問いへの医師からの回答は、「投薬をしていると保険加入できないケースもあるようだが、自閉症という診断だけで保険に加入できないわけではない」でした。
医師は、その解答にこう付け加えました。
「将来を懸念して診断を見送るより、診断を受けないことで、本来受けられるべきサポート(療育)が受けられないリスクの方が確実に高い」
ああ、なるほど…。
この回答は、私にとってかなりわかりやすく、ストンと納得できました。
子供が自閉症スペクトラムの診断を受ける最大のメリットは、それによって受給者証を発行され、必要なサポート(療育や言語療法、作業療法等)を受けられることなんです。
その他にも診断のメリットはあります。
例えば、うちの息子は発達の凹凸が物凄いことになっていて、できることは年相応にできますが、できないことは2歳児並みです。
だけど、一般的に人ってできることに照準をあてますよね。
「これができるのに、これができないなんてありえない。さてはふざけている(サボっている)な?」と思いがちです。
しかし、ここに「自閉症スペクトラム」という診断があると、「ふざけているわけでもサボっているわけでもなく、本気で出来ないんです」という説明をしやすくなります。
そして、「ああ、自閉症という発達障碍があるから、苦手なんだね」と受け入れてもらえます。
これも、子供にとって自閉症スペクトラムを診断する大きなメリットになるんです。
困り感って、意外と他者には伝わらないもので、しかも自閉症児はヘルプの発信が苦手という特徴があります。
そのため、本人は物凄く困っているだけなのに、周囲から「ちゃんとやっていない」と誤解され、不必要に叱られてしまい、必要なサポートを受けられなくなってしまいがち。
そうなると、どんどん自己肯定感が下がって「自分はダメ人間だ」とふさぎ込み、二次障碍のリスクが高まってしまいます。
このような最悪の事態を避け、周囲の理解を得るためにも、自閉症スペクトラムという診断名が有効なんです。
息子は現在幼稚園の体操教室に通っていますが、ここでもできることとできないことの差がスゴイです。
私は先生に息子の自閉症スペクトラムについて「手足の連動が苦手」「物凄い不器用」という特性があることを伝えました。
そのお陰で、息子の妙な体の動かし方にも、先生は寛大に対応してくださいます。
「自閉症スペクトラム」という確固たる診断名があるからこそ、先生も「そういうものなのか」とスムーズに理解を示してくれるのです。
ちなみに、自治体によっては「診断なしでも療育OK」という地域もあるらしい…。でも、受給者証には「障害児」という文字がバッチリ書かれているんですよねぇ…。これって、別の地域では表記がないのかなぁ。
あ、単なる呟きでした。
自閉症スペクトラムの診断を受けるデメリット
自閉症スペクトラムの診断には、デメリットもあると言われています。
- 自閉症スペクトラムへの偏見から差別される
- 親が発達障碍ありきの色眼鏡で子供を見てしまう
- 子供が「自分は他の子と違う」とふさぎ込んでしまう
- 投薬などにより保険加入できないリスクがある
幼児期に自閉症スペクトラムの診断を受けるデメリットは、子供本人と言うよりも、大人の受け止め方に大きく左右されるということ。
特に最近、発達障碍の認知が広がると同時に、偏見も生まれているので、馬鹿正直に「うちの子自閉症スペクトラムなのよ~」と公言するのは、ちょっと考えた方が良いと思います。
何せ、「幼稚園で自閉症児が迷惑して困っている」という話題がネット上で上るくらいですから…。
私の息子はまだ幼児なので、3と4のデメリットは殆ど関係ありませんが、就学後に発達障碍の可能性が出た場合、子供にどう伝えるかは親にとって大きな課題のようです。
発達障害とは告知してあり苦手なことと得意なこと。それに差があることは伝えてある息子に、お風呂で「俺ってアスペルガー?」「それって自閉症の一種だよね」と聞かれました。
『光とともに』で読んだ事かなり覚えてきてるわ( ̄▽ ̄;)
コミュニケーションが苦手な人が多い事も。→— 桜 (@sakura_mitsuki3) June 15, 2018
TVを見ていた二男が「僕は自閉症ですか?」と聞いてきたので「はい、そうですよ。」と思いがけず告知となったのが二男、小学生の時。告知の時期を思い悩む間もないほど早かった。
— komachi (@komachi58) December 3, 2016
「ぼくはなんで支援級なの?」
「ぼくはなんで(療育)センターに行くの?」
息子に告知をするきっかけはこういうことからだった。
小学校3年くらいだったと思う。
「ぼくって自閉症?」という言葉も。
本棚にもHDDの録画一覧にも「自閉症」という文字がいっぱいだったからね。— たまご (@tmg0505) February 1, 2016
私もいつか、息子には「あなたにはちょっと人とは違う特性があるんだよ」と伝えなければいけない日が来るんだろうか…。
それはまだ先の話だから、今は考えないでおこう。
とりあえず、今の段階では、理解のある幼稚園とお友達に恵まれ、息子が自閉症スペクトラムの診断を受けたデメリットを感じることなく、ここまできている状態です。
自閉症スペクトラムの診断は生きやすい世界へのパスポート
前述した通り、自閉症スペクトラムの診断は、一生ついて回るものとは限りません。
誰だって成長します。
自閉症スペクトラムの子供も、いつかは大人に成長します。
その成長過程で、本人が周りのサポートを受けながら、生活上の困り感を徐々に克服していけば、「自閉症スペクトラム」と周知する必要がなくなります。
自分の特性と上手に付き合いながら社会に適応すれば、それはもう発達障碍の特性ではなく、個人の個性なんです。
そこに到達するために、療育など必要なフォローと周囲の理解が必要で、その為の診断なのです。
だから、私はこう考えることにしました。
自閉症スペクトラムの診断は、息子が生きやすい世界に行くためのパスポート!
せっかく診断を受けて受給者証もあるのですから、受けられる支援はバッチリ受けて、息子が世の中を生きていくために必要なスキルを身につけるサポートをしていきたいと思います。
あなたも、診断をただ恐れるのではなく、「どうしたら子供のより幸せな未来に繋がるか」を考えてみてくださいね。