
最近ブームと言っても過言ではない発達障害。
情報が拡散される時、必ず誤解と不安が伴います。
特に、発達障害の中でも自閉スペクトラム症で知的な遅れがない場合、親は「あれ?もしかして発達障害?」と思いながら、確信が持てず、「でも、違うかも」と子供の困難さを感じながら、適切な対応をとれずに、親子で辛い状況に陥ることも…。
4歳で自閉症スペクトラムと診断された息子を持つ私ですら、「う~む」と悩んでしまう事があるくらいです。
そこで、2018年11月21日に放送された、今日の健康、「全力サポート!子供の発達障害」で、自閉スペクトラム症の特集がありましが、これがものすごーくわかりやすかったので、まとめてみました。
「うちの子、発達障害?」と思ったあなたに、是非読んで欲しいです!
Contents
自閉スペクトラム症と発達障害の割合は?
現在、自閉スペクトラム症は100人に1人くらいいると言われています。
これは、「自閉スペクトラム症」だけの割合です。
他の発達障害(ADHD、LD、場面緘黙、吃音等)を含めると、クラスに1~2人くらい、診断グレーを含めれば、クラスに3~4人いても違和感なさそう…と、私的に感じています。
息子が診断され、発達障害の知識が頭に入った後周囲を見渡すと、「あれ?あの子も特性ありそう」という子が、結構いるんですよ。
ちなみに、息子が通う幼稚園では、同学年で自閉スペクトラム症診断済みが、息子を含めて2人いますが、パーセンテージで言うと4%です。
でも、療育の先生が幼稚園の訪問をした時に、息子や診断済みのお友達よりも、特性が出ているなぁと感じた子供もいたようです。
発達障害って、意外と身近な存在なんですよ。
私は息子のことを率先してアナウンスはしていないけど、隠してもいませんが、集団行動に困り感がないタイプなので、周囲に殆ど気付かれません(笑)
私の愛すべき息子は、こんなタイプの自閉症です↓
自閉スペクトラム症の特性と診断基準とは?
自閉スペクトラム症は、次の2つの特性を併せ持っているかどうかが、診断基準となります。
- コミュニケーション(対人関係)の困難さ
- 興味や行動への強い拘り
どちらかしか特性が見られないケースもありますが、基本的には、この2つが該当するかどうかが、診断の分かれ目になります。
自閉スペクトラム症のコミュニケーションの困難さについて
コミュニケーションに困難さがあるかは、以下の様子が見られるかで判断します。
- 会話のやり取りが難しい
- 感情を共有することが難しい
- 人と交流する際、身振り手振りなどの非言語的コミュニケーションがとれない
- 年齢に応じた対人関係が築けない
コミュニケーションの困難さの具体例
- 一方的で独特な言葉遣いをする(質問への答えが返ってこない。意味なく言葉をくりかえす等)
- 文脈の理解がし辛い(比喩が伝わらず間に受ける、冗談が通じない)
- 人の感情や場の雰囲気を理解し、適切な行動や態度を取れない(空気が読めない)
- 視線が合いにくい
- 表情が乏しい
ちなみに、息子はコミュニケーションが円滑にできるタイプなので、具体例の殆どが当てはまりません。
笑顔いっぱい、表情豊かで、空気を読めます。会話もバッチリ成立します。
しかし、比喩や曖昧な表現が伝わりにくく、自分の好きなことについて、一方的に話してしまうことがあります。
自閉スペクトラム症の興味や行動への強い拘りについて
自閉スペクトラム症の特徴である拘りの有無は、以下の4項目の内2項目に当てはまるかどうかで判断されます。
- 常に同じ動きや会話を繰りかえす(おもちゃを1列に並べる、物を叩いたりする)
- 同一性への強い拘りがある(同じものを食べる、同じ道順)
- 非常に限定的で固執した興味がある(電車マニア、換気扇マニアなど)
- 音や光などの感覚刺激に対して極度に過敏、あるいは鈍感
強い拘りの具体例
- 興味を持った対象に過度に没頭しやすい(興味の対象の記憶や書き起こす、自分の興味を他人に押し付ける)
- 自分なりのルールややり方に固執する(外出の道順、物の位置等)
- 時刻表、電話番号、スポーツの試合など数字に固執するケースもある
息子の場合、癇癪がなく融通が利くので、一見拘りはないように感じます。
だけど、電車が大好きで、電車に関わる物だけは譲れないって感じ。それでも、穏やかだから譲る場面では譲れるんだけど。
それから、聴覚過敏で苦手な音があります。
例えば、ピアノの蓋を閉める音や、ジェットタオルはマジ恐怖で嫌がります。でも、掃除機や花火の音は平気なので、大きな音がダメってわけじゃないんですよね。
元々私も耳が良いので、あまりうるさい場所に長時間いるとストレスを感じるところがありますが、息子も耳が良さそう。
なんてったって音鉄ですから(苦笑)。
また、息子は数字が好きで、好きなだけではなく数字に関する理解力が高いです。特に時計に拘ります。
おお、こうやって見ると、やっぱり息子にはコミュニケーション力の困難さと、強い拘りを併せ持っていますね。
自閉スペクトラム症(ASD)の3つのタイプとは?
自閉傾向の発達障害、自閉スペクトラム症は、大きく3つに分けられます。
- 自閉症
- 高機能自閉症
- アスペルガー症候群
それぞれの発達障害には、以下の表のような特性があります。
自閉スペクトラム症、もしくは自閉症スペクトラムと言われている発達障害は、「自閉症」をイメージする人が多いかもしれません。
そして、我が子と自閉症の特性を比較して、「いや、まだまだそこまでじゃないし、きっと普通」と思うでしょう。
でも、自閉症と自閉スペクトラム症は、同じ枠だけど、違った特性を持っています。
自閉症は自閉スペクトラム症の中でも、最も困難さが際立つ発達障害です。
一方、高機能自閉症やアスペルガー症候群は、息子のように集団に合わせられるタイプだと、紛れて発達障害が見過ごされてしまいます。
そして、本人も無自覚の内に負荷を受け続けて、情緒不安定になったり、体調不良に陥ったりする可能性があるんです。
息子は「自閉症スペクトラム」としか言われていませんが、4歳頃は言葉の遅れが顕著でした。
なので、あえて分別するなら高機能自閉症かなって感じです。
でも、遅れていた言語がぐぐーんと伸び、今や年齢以上の語彙力です。
知的な遅れも、ボーダーから標準の値になりました。
ってことで、今の息子はアスペルガー症候群じゃないかなと思います。
自閉スペクトラム症の子供の問題点とは?
自閉スペクトラム症の子供は、集団生活において、いじめを受けたり、仲間外れにされたりするリスクが高くなります。
これは、自閉スペクトラム症の以下の特性により、周囲から誤解されやすいのが原因です。
- 非言語的メッセージが感じ取れない
- 他人の気持ちを充分に理解できない
昭和大学、鳥山病院の調査では、健常者と自閉スペクトラム症では、いじめや不登校になる割合に、大きな差が出るという結果になりました。
でも、この表を見て絶望しないでください。
健常だろうが、発達障害だろうが、周囲の理解なく辛い状況に陥れば、誰にだっていじめや不登校になり得るということ。
逆を言えば、適切なフォローと周囲の理解、そして本人の努力があれば、不幸な未来を回避できるということなのですから。
自閉スペクトラム症の長所とは?
自閉スペクトラム症は、確かに困難さがあるけれど、長所もたくさんあるんですよ。
- 常識にとらわれないユニークな発想
- ルールをきちんと守る気真面目さがある
- 不正を嫌い、正義感が強い
- 気持ちが優しい
うちの息子、全部あてはまるかも。
穏やかでビビりなので、正義感を表出できないけど、発想がユニークで、気持ちが優しく、そしてルールを重んじる真面目な性格です。
でも、世の中気が強くて、時にはルールを破っちゃう臨機応変な人の方が、世の中を上手に渡っていけるんですよね。
だから、自閉スペクトラム症の子供を持った親は、長所を最大限認めて、我が子が不利益を得ないように、細やかなフォローをしてあげなければならないのです。
子供が「発達障害かも…」と、気になる様子が見られた時の相談先
子供に特性や困難さが見られて、「発達障害かも…」と思っても、相談先がわからないという人も多いと思います。
自閉スペクトラム症を含む、子供の困難さの相談は、下記の機関で対応してくれますよ。
- 病院(小児科、児童精神科、精神科)
- 保健センター
- 子育て支援センター
- 児童相談センター
- 児童発達支援センター
- 療育センター
息子の場合、1歳半健診で要観察→保健センターで半年に1度面談→保健センターから療育センターを紹介で、現在に至ります。
一番敷居が低いのは、保健センターかな。
お住いの自治体に、「子育て相談」「発達相談」の窓口を問い合わせてみてください。
「これはもう、遠回りしていられない」と思ったら、病院や療育センターに直接連絡するのもありです。
自閉スペクトラム症の子供のサポートとは?
「うちの子発達障害かも…」と、然るべき機関に相談した後、具体的サポートとして、主に療育が挙げられます。
療育の目的は、2つあります。
- 少人数のグループで遊びや作業を通じてコミュニケーション能力などを身につける
- 親が子供の特性を理解し、必要な支援を得る方法を学ぶ
うちの息子も週1回療育に通っていますが、少人数だからこその丁寧な指導で、人とのコミュニケーションを学んでいます。
その他、発達の凹凸や言語の遅れ、吃音などがあれば、作業療法(OT)や言語療法(ST)の支援を受けるけーすもあります。
うちの息子は、コミュニケーションよりも不器用さや吃音といった困難さがあるので、OT、STは両方受けています。
息子の作業両方(OT)の話は下の記事をチェック!
療育やOT、STを通じて、親が子供に伝わる方法、より効果的に能力を伸ばす方法を学習して、自宅で実践するのも大きな目的です。
自閉スペクトラム症の子供は、その特性によって周囲から誤解され、自信を失いやすいです。
それを防ぐ為にも、良いところを見つけて褒めて、自信を持たせ、子供の自己肯定感を高めることが、とっても重要なんですよ。
自閉スペクトラム症を治す薬はある?
自閉スペクトラム症は、生まれながらの脳機能の偏りによる障害です。
だから、「一生治らない」というのが今までのセオリーでした。
だけど、最近オキシトシンが注目されています。
オキシトシンとは別名幸せホルモンで、社会生活において他の人への信頼愛着を増加させる作用があると言われています。
近年、自閉スペクトラム症はオキシトシンの分泌が少ないと言われていて、オキシトシンを治療薬にして、自閉スペクトラムの困難さの改善に繋げられないかの研究が始っているそうです。
とは言え、仮に薬ができたとしても、それは対処理薬に過ぎないと私は思います。
発達障害があろうがなかろうが、理解され、必要なフォローを受けるのは、人が人らしくあるために必要で、それを整えてることが、最も重要だと思うのです。
自閉スペクトラム症でも我が家はハッピーです
息子は自閉症スペクトラムと診断済みで、療育、ST、OTと、バリバリ要支援児です。
だけど、幼稚園では困難さなく、集団生活ができています。泣くこともあるけど、笑顔もいっぱいです。
これは、私と幼稚園が密にコミュニケーションを取り合い、息子が過ごしやすいように環境整備をしているからです。
息子は確かに苦手なことも多いけど、先生から適切なフォローを受け、お友達からもたくさん助けてもらいながら、笑顔で生活しています。
私たち家族も、息子が可愛くって仕方ありません。
自閉スペクトラム症は、子供一人ひとり特徴が違います。
それによってサポートも異なります。
子供に合った方法を見つけ、コミュニケーション力を高め、自信を付けさせてあげる、これが自閉スペクトラム症の親がすべき、子供のためのフォローです。
そうしてあげれば、案外困り感なく、毎日をご機嫌に過ごせます。
だから、「もしかして…」と思ったら、その方法をあなたが学ぶためにも、然るべき機関に相談する勇気を出してくださいね。