結婚しない理由は本当に貧困なのか?若者の本音と少子化加速する未来予想図

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2019年の初婚年齢は男性31.2歳、女性29.6歳と、年々上昇傾向です。
さらに、30歳の未婚率は男性50.4%、女性40.5%と、未婚率も上昇しています。
そして、2022年の出生数はついに80万人を割り、出生率は1.26人と少子化が加速しています。

なぜ、日本は年々晩婚化、非婚化、少子化が続くのでしょうか。
その原因は「若者の貧困にある」という説があります。
確かに「お金がないから結婚できない」「お金がないから子どもは1人」という声を聞く機会は多いですが、果たして本当に貧困が原因なのでしょうか。

国立社会保障・人口問題研究所が行った「第16回出生動向基本調査 結果の概要」の結果はとても興味深いものでした。
この調査は、公的統計では把握することが難しい「結婚並びに夫婦の出生力」に関する実情と背景の把握が目的で、18歳以上55歳未満の独身者を対象としています。

結果を見ると、結婚しない本当の理由が見えてくる内容です。
今回は、この調査結果から若者が結婚しない理由を考察し、少子化の原因を探ります。

若者が結婚しない理由7つ

国立社会保障・人口問題研究所が行った「第16回出生動向基本調査 結果の概要」では、独身でいる理由(結婚しない理由)として以下の内容が挙げられます。

「独身でいる理由」を選択した未婚者の割合(25-34歳男女)

  • 適当な相手にまだめぐり会わないから:男性36.0%、女性43.3%
  • 独身の自由さや気楽さを失いたくないから:男性26.6%、女性31.0%
  • 結婚する必要性をまだ感じないから:男性25.8%、女性29.3
  • 今は、趣味や娯楽を楽しみたいから:男性22.4%、女性22.4%
  • 異性とうまくつき合えないから:男性20.0%、女性18.2%
  • 結婚資金が足りないから:23.1%、女性13.4%
  • 今は、仕事(または学業)にうちこみたいから男性:14.3%、女性14.4%

参照:国立社会保障・人口問題研究所が行った「第16回出生動向基本調査 結果の概要」
引用:https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16gaiyo.pdf

それぞれの項目について、若者の結婚に対する考え方を詳しく考察していきます。

結婚したいと思える相手に出会えないから

初回の調査から、若者が結婚しない理由として第一に挙げられる理由が「出会いのなさ」です。
結婚したい気持ちがあっても、パートナーが見つかりません。
逆を言えば「良い出会いがあれば結婚したい」ということです。

出会いがない理由についての詳しい調査はありませんが、仕事の忙しさや自信の行動力、人付き合いのネットワークなどが出会いのなさにつながるのかもしれません。
また、今は婚活アプリを利用すればいくらでも出会いを作れる時代ですが「結婚したい相手との出会い」は、やはり縁の力が大きいのでしょう。

そもそも結婚する必要性を感じないから

初婚年齢は男女ともに30歳前後ですが、25-35歳の年齢層2~4割が今すぐ結婚の必要を感じていません
この層には「一生結婚は必要ない」と「時期がきたら結婚したい」の両方がこんざいしていると考えられます。
どちらにしても、結婚適齢期と言われる年齢の一定数が結婚の必要性を感じず、自ら「今は結婚しない」という選択をしていることがわかるデータです。

自由で気楽な独身者でいたいから

男女ともに約3割が結婚しない理由として選んでいるのが「独身者だからこその自由と気楽さ」です。
今どきの若者の真面目さを表す結果と言えるでしょう。
なぜならば、結婚したら「不自由で責任のある生活をしなければならない」という考えの裏付けだからです。

今の若者は「結婚後は仕事をして働き、家事もし、育児もして、しかも子どもにはしっかりとした教育を親の責任でさせなければならない」と思っているのでしょう。
恐らく、身近に忙しく時間に追われる既婚者がいるのだと思われます。
また、自分たちが親から手厚い育て方をしてもらった盛大でもあるのでしょう。
結婚への責任を大きく感じているからこそ「自由でいたい」「気楽が良い」と、結婚を敬遠してしまうのです。

趣味や娯楽を楽しみたいから

この理由は「自由と気楽さを求めて結婚しない選択をする層」とかぶっていることが想定されます。
結婚すればパートナーや子どもに時間もお金も咲かなければならないのは事実ですよね。
それよりも自分だけのために時間やお金を使いたいのでしょう。
若者たちは結婚に楽しさや幸せよりも、義務や責任を強く感じているのかもしれません

異性とうまく付き合えないから

驚くべきことに、男女ともに約2割が「異性とうまく付き合えないこと」を結婚しない(できない)理由に挙げています。
しかし、冷静に考えれば当然の結果かもしれません。
お見合い結婚が主流だった昭和初期は「初対面でお見合いして結婚が決まる」「親の決めた相手と結婚する」が当然のように行われていた時代です。
恋愛の得意不得意関係なく「結婚するもの」という社会的な流れに乗って、誰もが結婚していたのです。

しかし、1960-1970年にかけて、お見合い結婚と恋愛結婚は逆転します。
お見合い文化は衰退し、2000年には恋愛結婚が約9割まで上昇。
恋愛が苦手な男女が結婚に乗り遅れるのは必然と言えるでしょう。

結婚資金が足りないから

やっと出てきた「結婚資金が足りない」という理由は、実は1~2割程度になります。
確かに、一定数は貧困が原因で結婚できないのかもしれません。
しかし、純粋にお金がないことが理由で結婚しない層は少数派です。

それもそのはず。
ほんの数十年前は、女性が経済的状況を改善するために結婚を求めていました。
昭和初期にさかのぼれば「子どもを働き手にするため」に産んでいた時代です。
貧困を脱するために結婚していた時代の方が、むしろ婚姻数も出産数も多かったことは時代が証明しています。

仕事(あるいは学業)に打ち込みたいから

年齢適齢期である25-35歳は、仕事が充実する時期でもあります。
新卒から同じ企業に勤めていたり、ステップアップの転職をしたりする人は仕事の面白さを実感し、結婚して不自由になることを敬遠するのは納得の結果です。

ここで注目すべきは、男女の割合がほぼ同等という点です。
日本は男女平等が遅れていると言われていますが、過去と比較すれば女性が仕事で活躍する機会は確実に増大。
性別関係なく「仕事に打ち込みたい」と思う人が増え、しかも「結婚したら家事育児を夫婦で協力して行う意識」が高まっているからこそ、この理由に男女差がほとんどないのだと推測できます。

結婚したとしても希望する子どもは2人未満の現実

少子化の原因は晩婚化、非婚化と言われています。
しかし、初婚年齢が早まり結婚率が高まっても、少子化が改善するとは限らないようです。
同調査では、以下のような結果が出ています。

調査別にみた、未婚者の平均希望子ども数

男性
2010年:2.04人
2015年:1.91人
2020年:1.82人

女性
2010年:2.12人
2015年:2.02人
2020年:1.79人

参照:国立社会保障・人口問題研究所が行った「第16回出生動向基本調査 結果の概要」
引用:https://www.ipss.go.jp/ps-doukou/j/doukou16/JNFS16gaiyo.pdf

なんと、現在の未婚者男女が望む子どもの数は、2020年に2人未満になってしまったのです。
恐らく、一定数の未婚者が「子どもは1人で充分」と思っているのでしょう。
筆者は40代後半ですが、同年代の友人も夫婦の希望で子ども1人を選んでいる人が何人もいます。
その理由は以下の通りです。

  • 経済的に1人で精いっぱい(子どもには充分な教育や環境を与えたい)
  • キャリア維持のためにも子どもは1人で良い(共働き総合職)
  • 不妊治療がつらすぎたから2人目以降は考えられない

あくまでも筆者が実際に聞いた話では、結婚して子どもを望んでいる夫婦で「趣味や自分の時間が惜しいから1人」という人はいませんでした。
本当に趣味や自分の時間を優先させたい人は、結婚しない、あるいは結婚したとしても子どもを持たない選択をするのかもしれません
どちらにしても、今後日本の非婚化、少子化は加速度を増していくと予想できます。

少子化と若者が結婚しない原因は選択肢が増えて自由に選べるから

そもそも、子どもがたくさん生まれていた時代は、本当に夫婦双方が望んで子どもの数を決めていたのでしょうか。

子どもの数をコントロールするには、避妊具が必要です。
代表激な避妊具といえばコンドームですが、現在のコンドームの基礎となるラテックス性のコンドームが誕生したのは1934年で今からたった70年前
それ以前もコンドームはありましたが、品質は現在と比較にならないほど低く、避妊率が高かったとは言えないようです。

ということは、70年より前は「授かったら生んでいた時代」とも言えます。
今よりもずっと女性の立場が低く「嫁は跡取りを生むもの」と当たり前のように言われていた時代でもあります。
ですので、必ずしも「夫婦が話し合って決めた子どもの数が多かった」のではないでしょうか。

一方、今の時代は自分の人生の選択肢が多く、自分で選べる時代でもあります。
「結婚しないなんて未熟者」「結婚して子どもを持つのが女性の幸せ」なんて言おうものなら叩かれますから、周囲から「結婚しろ」「子どもを産め」というプレッシャーも限りなく低いでしょう。

また、70年前と現在の新生児死亡率も大きく違います。
医療が発展した現在とは違い、出産時の死亡や産まれて間もなく死亡する新生児は今と比べ物にならないほど多く「子どもを残すためにたくさん産む時代」だったのです。

「貧乏子だくさん」という言葉からわかるように、数十年前と現在では「子どもを産む数を決める要素」が全く違います
経済的問題で結婚や妊娠出産をためらう層が一定数いるのは確実ですが、若者の収入を上げれば非婚化・少子化は解決するわけではなさそうです。

しかし、これは悪いことなのでしょうか?
個人の価値観や考え方が尊重され、自由に生きられる時代になったと考えれば、非婚化や少子化はむしろ幸せな時代の到来と言えるのではないでしょうか

ただし、筆者は懸念していることがあります。
それは、独身のまま幸せな老後を迎えているモデルケースが圧倒的に少ない点です。
筆者は40代後半ですが、アラサーのころと比べて確実に体力や健康面は衰えています。
筆者は結婚して夫と子ども2人の4人家族なので、支え合って生きていく精神的安定感は大きいですが、1人だったら何を思っていたか想像できません。

体力や健康面がおとろえると、人は精神的に不安を感じるものです。
果たして、若いときに「結婚しない」選択をした場合、年を取って体が衰えたとしても結婚しない選択を受け止められるのでしょうか。
受け止めたとして、1人で生きていく責任を果たす準備ができるのでしょうか。

今の若者は「自由な気楽さ」「自分の時間」を優先して結婚しない選択を選んでいる人が多いようです。
「自由を選んだ責任」についてどう考えているのか、アラフィフの筆者は気になります。
「自由のための責任」と「結婚して家族を持つ責任」は、どちらが大きいのか比較できません。
だからこそ老婆心から言わせていただきたいと思います。
「責任ない自由はいつか破綻する」と。

おまけ:有効な少子化対策を考える

筆者は「別に少子化が進んで日本人の人口が減っても構わない」と思っています。
少子化の問題は「現在の経済力やインフラを維持したい層」にとっての問題ですから。
先進国で日本より人口が少ない国はいくつもあります。
たとえばイギリス、フランス、イタリアなど。
それらの国をモデルにしながら、国のミニマム化を図ればいいんじゃないでしょうか。

と思えるのは、筆者の周囲には働く元気な老人が多いからかもしれません。
80代の父は現役職人、天国にいる祖父も86歳まで現役職人でした。
義母は78歳で週3元気にパート勤務しています。
2021年の農業従事者の平均年齢は67.9歳と農水省は発表しています。
医療の発展もあり、日本人にとって60代はまだまだ働き盛りで、70歳を超えても元気で働ける人は一定数いるのですから、ここを労働力として駆り出せば良いのです。
まぁ…そんなことを言えば後期高齢者からとんでもない批判があるでしょうけど…。

では、真面目に有効な少子化対策について考えてみましょう。
政府が「異次元の少子化対策!」とか言って気合入れた風を装っていますが、内容は以下のような感じです。

  • 児童手当等の所得制限の撤廃
  • 児童手当を高校卒業まで延長
  • 子どもが3人以上の足し世帯への支給額の増額
  • 出産費用の保険適用の導入
  • 学校給食の無償化
  • 子育て世帯の住まい支援(住宅ローン金利負担軽減策)
  • 4~5歳児の保育士の配置基準改善
  • 「こども誰でも通園制度」の創設(働かなくても子どもを保育園に預けられる)
  • 「産後パパ育休」制度で育休取得者に給付額引き上げ
  • 週休3日制の導入

これらはすべて「検討」であり、現段階では「言ってるだけ」です。
ちなみに、児童手当の延長をする場合、現在16-18歳の扶養控除を撤廃することが検討されています(意味ねー)。

まぁ…子育て中の身としては「やってくれればありがたいかも」とは思いますが、筆者はこれらの政策を全て実行しても少子化は解決しないと思っています。
理由は前項で触れたとおり「結婚しない若者は自由を重んじ、結婚したとしても子どもの数は2人未満で十分と考えている人が多いから」です。

では、少子化解決には何をすれば良いのでしょうか。
筆者はこの2つしかないと思っています。

  • 結婚して子どもを産んだ方が独身を貫くより断然お得な世界線を作ること
  • 教育を無償化し子育ての不安を払しょくすること(義務教育、公立校の教育水準を私立並みに向上させることも含む)

今の若者は自由を重んじて自分勝手のようなイメージがあるかもしれませんが、実はとてもまじめで慎重です。
自由を選んで結婚しないのは「結婚したら責任を果たさなければならない」という思いの裏返し。
その「責任」とは「自分の時間とお金をささげること」でもあります。
ならば、せめてお金だけでも解決しなければ、これから結婚出産する世代にはなにも響かないでしょう。

筆者には高校生と小学生の子どもがいますが、教育費はとんでもなくかかります。
我が子が学校教育だけで理解できる自頭なら良いのですが、残念ながら自力で学力を上げられるほど秀でてはいません。
娘は中学から塾に通い、現在は手厚い私立高校で勉強を頑張っています。
今後大学受験を控えていますが、受験料だけでも50万円はかかるでしょうし、大学の学費を考えるとめまいがしそうな金額です。
(私立高校入学時もかる~く100万円以上すっとびました)
若者に「産めば何とかなる」なんて言える時代じゃないんですね。

「公立に行けばいいじゃないか」という意見がありますが、残念ですが公立の高校は大学受験を考えた場合「予備校必須」と言わざるを得ない状況です。
筆者は偏差値65の公立校出身で9割以上が大学進学を目指すようなところでしたが、授業は普通に行われ、大学受験に特化した内容ではありませんでした。
本当に上位の高校(偏差値70超え)では公立でも予備校扶養を謳っているところもあるようですが、娘はそこまでの学力には到達しませんでした。
到達していたとしても、倍率が2倍以上ですから「必要な学力を身に着けても半分が公立に行けない状況」です。
「公立に行け」と言うなら、国にこの辺を改善して欲しいですね。

2021年の高校進学率は実に98.8%と「ほぼ全員が高校に進学する時代」なのですから、昭和の体制では不十分に決まっています。
せめて、偏差値60以上の勉強する意欲があり、努力してそれなりの結果を残せる層には「本人が希望すれば公立程度の学費で通える制度」をしっかり作って欲しいです。
(なお、偏差値が低い高校ほど定員割れが多いのが現状)

「結婚して子どもを産んだ方が独身を貫くより断然お得な世界線を作ること」については、現状の「扶養控除を撤廃していったん税金巻き上げてから児童手当として配布」では全くもって不十分です。
子ども1人につき扶養控除50万円くらいはサクッとつけて、再配分ではなく「医療費、教育費無料」にすべきかと。
さらに、学校の教員やスタッフの数を増やして「勉強のフォロー」「体験活動を増やす」など、ガンガンして欲しいです。

親の収入による子どもの格差是正には、バラマキではなく子どもが毎日過ごす教育現場の充実がカギ!
教員のブラック労働が問題になっていますが「今の数で教師の仕事を減らす」のではなく「教員の数を倍増して仕事を分散させ、教育の質は向上させる」が正解でしょう。
そういうことに血税を使ってほしいと切に願います。

まぁ…今の政府では非婚化と少子化の改善は無理でしょうね。
国への信頼が揺らいでいるからこそ、皆個人主義に走るのでしょう。
筆者も自分の家族や親族の身を守るだけで精一杯です。

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