政府調査から見る孤独な人の特徴と孤独感の解消法

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内閣官房が行った「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」が興味深です。
令和3年に行われたこの調査は、全国の16歳以上を対象にしており、11,867人が集計対象となっています。

「あなたはどの程度、孤独句であると感じますか?」という、非常にシンプルな設問ですが、年齢や性別、婚姻状況や住居状況など、さまざまな階級別に見ると、孤独感が強い人の傾向が見えてくるのです。

今回は、「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査」の結果から作成された「人々のつながりに関する基礎調査(令和3年)調査結果の概要」から、孤独な人の特徴を詳しく考察!
孤独感の解消法についても解説します。

※この記事のデータは、全て「人々のつながりに関する基礎調査(令和3年)調査結果の概要」から引用しております。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu_taisaku/zittai_tyosa/zenkoku_tyosa.html

階級別に見る孤独感の強さ

この調査では、日本人の4.5%が、強い孤独感を感じている結果が出ています。

孤独の状況(直接質問)
 しばしば・常にある:4.5%
 時々ある:14.5%
 たまにある:17.4%
 ほとんどない38.9%
 決してない:23.7%

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu_taisaku/zittai_tyosa/tyosakekka_gaiyo.pdf

「時々ある」「たまにある」も含めると、全体の約4割弱が孤独感を持っています。
このように表現すると、日本は孤独な国の印象があるかもしれません。
しかし、生きていればふと不安感に襲われ、「このままでいいのかな?」と立ち止まるのは誰にでもありますよね。
私もこの設問ならば、「たまに」と答えると思います。

問題なのは、常に孤独感を持っている層です。
彼らはなぜ強い孤独感を持つのでしょうか。
その理由は、この調査結果を細かく読むと見えてきます。

20~30代が最も孤独感を持ちやすい

年代別に見ると、孤独感を強く感じる層は、20~30代が中心です。

年齢階層別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」の回答割合
16-19歳:3.4%
20-29歳:7.7%
30-39歳:7.9%
40-49歳:5.6%
50-59歳:4.9%
60-69歳:3.3%
70-79歳:1.8%
80歳以上:3.0%

他の年代に比べると、20~30代の孤独感は突出しています。
この年代は、仕事や結婚の問題など、自分の生き方と向き合う時期でもあります。
目標に向かって充実した生活を送っている人がいる一方で、壁にぶつかったり悩んだりして、孤独感を持つ人が多いのでしょう。

一方、定年退職後と思われる60-70代の孤独感は小さいのが特徴的です。
定年退職後の悠々自適で恵まれた生活をしている人が多いのかもしれません。
また、この年代はまだまだ横のつながりが強い世代。
普段から人との関りが多く、孤独を感じる機会が少ないと推測できます。

未婚者の孤独感は既婚者の約4倍

配偶者の有無別に孤独感を見ると、圧倒的に未婚者の孤独感が強くなります。

配偶者の有無別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」の回答割合
未婚:9.6%
既婚:2.4%
死別:3.4%
離別:8.1%

未婚者の孤独感は、既婚者の実に4倍です。
もちろん、結婚生活が上手くいかなければ、孤独感は強くなるでしょう。
それでも、全体的には圧倒的に既婚の方が「孤独じゃない」という思いが強まります。

既婚者の幸福度は、夫婦仲に大きな影響を受けるのでしょう。
最期まで添い遂げた死別の強い孤独感が3.4%に対し、離別の孤独感は8.1%もあります。
配偶者と心を通わせられているかどうかは、孤独感に大きな影響を及ぼすのです。

女性より男性の方が孤独感は強い

性別で見ると、「孤独感がしばしばある、常にある」と答えた割合は以下の通りになります。

性別(直接質問)「しばしばある・常にある」の回答割合
男性:4.9%
女性:4.1%

わずかですが、男性の方が女性よりも孤独感を持っている人が多い結果です。
しかし、配偶者の有無別・男女別のデータでは、興味深いデータが見られます。
未婚者の孤独感は、男性が10.8%、女性が7.7%。
一方既婚者の孤独感は、男性が2.2%、女性が2.5%です。

未婚者では男性より女性の方が充実した生活を送っていて、孤独感が低い傾向。
一方、既婚者では男性の方が女性よりも満足度が高い結果です。

まぁ…なんとなくわかります。
家事育児を担うことが多い妻の方が、社会とつながる機会が夫よりも少なく、このような結果が出たのでしょう。
妻の不安感や不満に気付いていない夫が多いのかもしれませんね。

離別・死別後の孤独感は男性の方が強い

次は、パートナーとの別れを経験した離別、死別の層だけ見てみましょう。

男女、配偶者の有無別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
死別男性:4.8%
死別女性:3.0%
離別男性:9.5%
離別女性:7.4%

どちらも優位に男性の方が強い孤独感を持っています。
男性は女性よりも大きな変化への順応性が弱いのかもしれません。
私の父も、母が先立ったら、しおしおと元気を失い、強い孤独感を感じるだろうなと感じます。

一人暮らしの孤独感は全体平均の約2倍

同居人の有無別では、強い孤独感に対して、以下のような結果が出ています。

同居人の有無別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
同居人がいる:3.7%
同居人がいない:8.7%

納得の結果ですね。
やはり、同じ空間に誰かがいる方が、人は孤独感を持ちにくいのです。

もちろん、「1人最高!」というタイプもいるでしょう。
私も1人時間が必要なタイプなので、一人暮らしを充実させる人の気持ちはわかります。
それでも、同居人は心の支えになる存在です。
特に年を重ねて健康不安が大きくなると、家に誰かがいる安心感は大きいものです。

なお、男女別に見ると、「死別・離別」と同じように、男性の方が孤独感は強くなります。
孤独感を強く感じている割合は、単身男性10.9%、女性6.5%です。
男性の方がプライベートな人間関係を築くのが苦手とする人が多いのかもしれません。

一人暮らしの孤独感に山は2回来る

一人暮らしの孤独感を、年代別に見てみましょう。

同居人がいない人の年齢階級別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
10-19歳:3.7%
20-29歳:6.2%
30-39歳:15.0%
40-49歳:9.6%
50-59歳:15.1%
60-69歳:10.0%
70-79歳:2.8%
80歳以上:6.3%

注目すべきは、30代と50代の一人暮らしの孤独感です。
20代では、同居している人がいる層の孤独感は8.0%で、一人暮らし単身者の孤独感を上回ります。
しかし、30代で一気に立場は逆転。

20代では自分の意思で一人暮らしをし、生活を充実させている人が多いと推測した場合、満足度が高くなるので、孤独感が弱まると考えられます。
しかし、30代は既婚者が一気に増え、独身者と既婚者で生活が大きく変わる年代です。
「40歳までに結婚したい」と考える人も多く、気ままな一人暮らしを楽しんでいた人も、30代は「このままでいいのか」と考える時期なのかもしれません。

しかし、40代で一人暮らし層の孤独感は一旦収まります。
悩みつつも、1人の生活が確立される時期なのでしょう。
良い意味で結婚への焦りがなくなり、自分らしく生きる術を身に着ける年代だと思います。

一旦落ち着いたはずの孤独感が上昇する50代。
これは、健康と雇用への不安が大きな原因ではないかと考察します。
入院を必要とする病気になる率が大きく増えるのも50代からです。
定年が近づき、その後の生活への不安も相まって、一人暮らしに強い孤独感を持っても不思議はありません。
なお、30代、50代ほどではないものの、60代の一人暮らしも10.0%が強い孤独感を持っています。

派遣社員の孤独感は全体平均の約2倍

商業形態別でも、孤独感には差が出るようです。

現在の仕事の種類別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
正社員:4.9%
派遣社員:8.7%
パート:%
契約社員:3.9%
会社役員:2.8%
自営業主:3.3%
学生:3.4%

派遣社員の孤独感は、突出して大きいです。
私も長らく刷毛社員をしていたので、理由はよくわかります。
就業先企業にもよりますが、派遣社員は「一時的な契約、外部の人」という扱いをされることがあります。
また、法律に守られてはいるものの、正社員と比較すれば不安定です。
「派遣切り」という言葉からもわかるように、常に失業の恐怖がつきまといます。
正社員と比較すると収入も低くなるので、孤独感を持つ人が多いのはうなずける結果です。

しかし、一時的な雇用であるはずのパートでは、強い孤独感を感じているのは4.0%程度。
家事育児とのバランスを取りながら働く既婚女性が多いからではないかと推測します。

失業中の孤独感は全体平均の約3倍

当然の結果と言えますが、失業中になると孤独感は強くなります。
仕事なし(失業中)の人の12.5%が、孤独感が「しばしばある・常にある」と答えているのです。

計画的に失業した人は別として、会社を辞める理由は、会社の業績不振や人間関係トラブル、家庭の事情など、やむを得ないものが多いです。
次に良い職場が見つかるかの不安もあり、失業中の孤独感は非常に大きくなるのでしょう。

年収が低いほど孤独感は強まる

年収と孤独感についても、明確な有意差が出ています。

世帯年収別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
100万円未満:7.3%
100-199万円:6.0%
200-299万円:4.3%
300-399万円:4.2%
400-499万円:4.3%
500-699万円:3.7%
700-999万円:3.1%
1,000-1,499万円:2.7%
1,500万円:2.7%

年収が上がる程、孤独感は小さくなります。
「愛でお金は買えない」と言いますが、経済的に恵まれた環境は、精神的安定につながっているのがよくわかる結果です。

なお、学歴と孤独感の関連性は低いようです。
最終学歴別にも孤独感を集計していますが、大きな有意差は見られませんでした。

それでも特徴を上げるとすれば、短大・高専の孤独感の低さでしょうか。
中高生までに専門的な知識を学びたいと思うほど目標が明確化した人は、その後豊かな人生を送る率が高いのかもしれません。
好きな仕事に就き、やり甲斐を感じながら働いていると推測できます。

持ち家より賃貸住宅の方が孤独感は強い

住居別でも、孤独感に差が見られました。

現在の住まいの状況別孤独感(直接質問)「しばしばある常にある」
持ち家(戸建て):3.6%
持ち家(マンション等):4.0%
民営賃貸住宅:7.0%
公営住宅:7.9%
URなど:5.8%
給与住宅:5.2%
寮:4.9%

持ち家の方が、明らかに孤独感は小さいです。
恐らく、持ち家を購入できる経済力があり、家族と暮らしている人が多いのでしょう。

民営公営問わず、賃貸住宅では、強い孤独感を持つ人の割合が多くなります。
保証人等がいなければ、「いつまで契約続行できるか」という不安もあるでしょう。
また、住んでいる人が入れ替わるため、ご近所関係が希薄なのも、孤独感に関係していると思われます。

行動特性別にみる孤独感の強さ

環境とは別に、本人の行動特性によっても、孤独感は大きく変わるようです。
環境を変えるのは難しく、可能な場合も大きな手間や時間、お金が必要です。
しかし、自分の行動は、自分の意思である程度変えられます。

どのような行動をとる人は孤独感が強いのか、あるいは孤独感を感じにくいのかを知るのは、孤独感を解消する大きなヒントになります。
「人々のつながりに関する基礎調査(令和3年)調査結果の概要」の結果を詳しく見ていきましょう。

通信機器をコミュニケーションに使わない人は孤独感が強い

通信機器、恐らくほとんどはスマホ(あるいはパソコンやタブレットでのインターネット利用)を指すと思いますが、利用目的によって孤独感は変わるようです。

普段のコミュニケーションツールの利用状況孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
人とのコミュニケーションに使っている:4.4%
人とのコミュニケーションに使っていない:12.4%

なんと、コミュニケーションのためにツールを使っていない人は、使っている人の約3倍も強い孤独感を持っています。
人とのコミュニケーションに利用するか否かは、本人の意思で決定できること。
孤独感が強い人は、積極的に人とコミュニケーションをしない人が多いと推測できます。

外出頻度が少ないほど孤独感は強まる

では、外出頻度と孤独感の関係はどうでしょうか。

外出頻度別孤独感(直接質問)
週5日以上:4.1%
週3~4日程度:3.0%
週1~2日程度:6.5%
週1程度:8.2%
外出しない:14.5%

積極的に外に出る、あるいは外に出る用事が多い人は、孤独感を持ちにくい結果です。
一方、ほとんど外出しないと答えた人の孤独感はとても強く、家にこもるほど孤独感が強くなることがわかります。
自主的に外に出ないのか、あるいは体調不良などが理由で外に出られないかでも差があるでしょうが、外の空気を吸うのは、精神衛生上大切なのでしょう。

同居人との会話が減るほど孤独感は強まる

前述のデータでは、同居人がいる方が、一人暮らしよりも孤独感が低い結果が出ています。
しかし、同居している人がいても、強い孤独感を持っている人は一定数います。
なぜ、彼らは孤独を感じるのか、その答えがわかる結果が、同居人と直接会って話す頻度が示すデータです。

同居している人たちと直接会って話す頻度別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
週4-5回以上:3.4%
週2-3回程度:7.3%
週1程度:5.8%
2週間に1回程度:8.3%
月1回程度:6.5%
月1回未満:12.1%
全くない:22.0%

なお、週4-5回以上と答えた人は、同居人がいる人の88%を占めています。
同居している人と、ごく自然に会話している人は、孤独感が小さいです。

一方、極端に同居人との会話が少ない人は、強い孤独感を持っています。
もしかしたら、同居人と上手くいっていないのかもしれません。
それでも同居を続けるのは、何かしらの問題を抱えているのでしょう。
完全に1人きりの状況よりも、冷え切った仲で暮らす同居生活の方が、ある意味キツイ孤独を感じます。

相談相手がいないと孤独感は非常に強くなる

相談相手の有無は、孤独感に大きな影響があるようです。

不安や悩みの相談相手の有無別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
相談相手がいる:2.9%
相談相手がいない:23.6%

今までのデータが無意味に見えるほど、孤独感に圧倒的な差があります。
強い孤独感を持つ人は、相談者がいないのです。
「誰も自分の悩みを理解してくれない」「誰も助けてくれない」という思いが、強い孤独感につながるのでしょう。
孤独感が強い人は、心から信頼できる人がおらず、1人で悩みや辛さ、痛みを抱え込んでいるのかもしれません。

しかし、孤独感が強い人に信頼できる人がいないのは、環境面だけが問題ではなさそうです。
「不安や悩みを相談する際の感情」を、孤独感の強さ別に集計すると、以下のような結果が出ました。

孤独感(直接質問)別、不安や悩みを相談する際の感情
「相談しても無駄である(相談しても決して解決しない)」と答えた割合
しばしばある・常にある:41.6%
時々ある:17.2%
たまにある:12.1%
ほとんどない:6.1%
決してない:4.6%

強い不安感を日常的に持っている人は、「相談しても無駄」と投げやりです。
頼って裏切られたなど、人に対して期待できない心情に陥った経験があるのかもしれません。
人を信用できなければ、自ら頼らないでしょう。
孤独感の強い人は、周囲への不信感が大きく、八方ふさがり状態と言えます。

孤独感を持つ人は他者との関りを避ける傾向がある

意外に思われるかもしれませんが、「自分が他者を助ける経験」も、孤独感に影響があるようです。

他者への手助けの状況別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
している:3.2%
最近までしていた:4.0%
していない(自分にはできない):9.5%
していない(手助けを求める人がいない):4.1%
していない(したいと思わないなど):8.9%

手助けは手間暇がかかりますが、そこには必ず人との交流があります。
また、手助けをすれば、人から感謝される機会も増えます。
大変なことがあっても、人を助けた方が、孤独感は小さくなるのでしょう。

一方、「自分には人助けなどできない」と思っている人は、孤独感が非常に強いです。
孤独感に追い詰められるほど余裕がないから人助けができないのか、あるいは自分を過小評価しているのか…。
どちらにしても、自ら人との交流を避ける傾向があるようです。

健康状態が悪いと孤独感が強まる

体の健康は心の健康にも影響しますよね。
孤独感の強さも、心身の健康状態に大きく左右されるようです。

心身の健康状態別孤独感(直接質問)「しばしばある・常にある」
よい:1.4%
まあよい:1.5%
ふつう:3.5%
あまりよくない:12.3%
よくない:36.9%

体調が悪ければ、外に出たり人と会ったりする機会も減るでしょう。
「元気だったらいろいろできたのに」と思うと、気持ちも落ちていきます。
回復の目途が立っていなければ、今後の不安感も大きく、当然心も弱ります。

孤独感が強い人は社会との関りに満足していない

「外に出た方が孤独感が減る」「人との交流は孤独感を払しょくする」という傾向はありますが、どれほど人や社会と関わりたいかは個人差があります。
厳密な回数の定義ではなく、本人の満足度が重要なのでしょう。
それがわかる結果が、以下のデータです。

孤独感(直接質問)別社会との関わり方の満足度「不満である」
しばしばある・常にある:23.4%
時々ある:5.1%
たまにある:1.7%
ほとんどない:1.7%
決してない:0.7%

「酷く孤独だ」と思う人は、自分の理想とする社会との関りが実現できていないのです。
「もっと関わりたい」という思いがあるのに叶わなければ、孤独感が強くなるのは必然でしょう。

一方、「孤独ではない」と言い切れる人は、現状に大変満足しています。
仮に月1程度しか社会との関りがなかったとしても、本人が「それで充分」と満足していれば、孤独には感じないのです。

孤独感が強い原因

今までより強い孤独を感じるのには、何かしら原因があると考えるのが自然です。
しかし、自分の感情を的確に認識するのは難しいもの。
実はダメージを受けているのに、自覚がないケースは少なくありません。

「人々のつながりに関する基礎調査(令和3年)調査結果の概要」では、客観的データとして、孤独感が強まる原因を分析しています。
現在の孤独感に至る前に経験した出来事を見ると、一般的に「しんどい」「大変」「辛い」と思われる経験が多いほど、孤独感も強まっているのです。

現在の孤独感に至る前に経験した出来事(直接質問)【複数回答】
孤独感が「たまにある」「時々ある」「しばしばある・常にある」と回答した人が、「決してない」「ほとんどない」と回答した人より優位に多かった出来事
失業・休職・離職・退職:8.4%(3.6%)
家族との離別:10.2%(4.6%)
家族観の重大なトラブル:6.4%(2.1%)
心身の重大なトラブル:17.2%(7.3%)
人間関係による重大なトラブル:14.2%(3.4%)
金銭による重大なトラブル:6.2%(2.2%)
生活困窮・貧困:9.7%(2.2%)

上記は、孤独感が強い人の経験率が弱い人の数値と比較して2倍以上の項目です。
仕事や家族との別れ、その他さまざまな重大トラブルは、大きなストレスとなって心身を疲弊させ、強い孤独感を引き起こすことがわかります。

なお「いずれも経験したことがない」の回答率は、ほとんど孤独を感じない人が41.6%なのに対し、孤独を感じる人は僅か12.8%です。
本人の努力では避けられないトラブルも多く、誰もが突然強い孤独を感じるリスクはあると言えます。

孤独感が消えない人10の特徴

「人々のつながりに関する基礎調査(令和3年)調査結果の概要」の結果を見ると、孤独感が消えない人の特徴が良くわかります。

  1. 心身の調子が悪い
  2. 信頼できる人が身近にいない
  3. 悩みを抱えている
  4. 雇用が安定しない
  5. 収入が低い
  6. 出不精で家にこもりがち
  7. 人と会話する機会がほとんどない
  8. SNSやネットも含めて人との交流が少ない
  9. 人と関わることに消極的
  10. 高い理想を持っているが行動力が弱い

一言で表現するなら、「何かが上手くいっていない」が、孤独感が消えない人の特徴です。
体調を筆頭に、仕事やプライベートで悩みを抱えている人が多いです。

やはり、一番の原因は心身の不調でしょう。
「孤独感を解消したい!」と思っても、体調が悪く思うように動けません。
「このままではいけない」という焦燥感に、「こんな自分はダメだ」という自己嫌悪が重なり、孤独感はどんどん深まります。

誰かに相談できれば良いのですが、トラブルなどが原因で孤独感が強まっていると、人を信用できず辛い状況に陥ります。
何かに躓くと、「次も失敗したらどうしよう」という心理が働くでしょう。
積極的に人と関われなくなれば、思考もネガティブになり、孤独感はより一層強まります。
一度孤独のサイクルに陥ると、そこから抜け出す思考が働きにくくなるのも問題です。

孤独感を解消する方法7つ

孤独感を解消するには、原因を分析しながら、環境調整と行動の見直しが必要です。
具体的に何をするべきか、順番に解説していきましょう。

まずは健康的な生活を心がける

強い孤独感は心身の不調と大きく関係しています。
ですので、体とメンタルの調子を整えるのが最優先。
まずは、健康的な生活を心がけましょう。
具体的な方法を挙げます。

  • 心身に不調があるならきちんと受診する
  • 栄養バランスの良い食事を心がける
  • 休息を第一にする
  • 朝起きる時間を固定し朝日を浴びる
  • 適度な運動をする

まずは体の健康が先決です。
体調がよくなると、引っ張られるようにメンタルの調子も整ってきます。
無理をしない範囲で、健康的な生活のルーティン化を図りましょう。

意識的に外出する

1人最高のインドア派で孤独感とは無縁の人なら、引きこもり生活も良いでしょう。
しかし、強い孤独感を持っているなら、意識的に外出をしましょう。

買い物もネットで済まさず、外出の理由にすると良いでしょう。
特に用がなければ、周囲をぶらぶらと散歩するだけで構いません。
ちょっとした気分転換のつもりで外に出ましょう。
日光を浴びる時間が増えれば、幸福ホルモンと言われるセロトニンの分泌が促され、精神が安定しやすくなります。
もちろん、体調が悪いときは無理せず休んでくださいね。

積極的に相談する

孤独感の解消に、人との関りは外せません。
悩みは積極的に相談しましょう。
相談という形にこだわらず、ただ話を聞いてもらうだけでも充分です。

相談できる人がいない場合は、公的な支援制度や民間のカウンセラーなどを利用すると良いでしょう。
特に公的支援の情報は、しっかり収集しておいて損はありません。
仕事の問題や貧困は孤独感の原因になりますが、内容によっては公的支援が受けられます。
まずはお住まいの自治体の総合窓口に問い合わせをするのが良いでしょう。

その他、公的相談機関は数多く存在します。
一部を紹介しましょう。

  • よりそいホットライン
  • まもろうよ、こころ
  • DV相談ナビ

内閣官房では、孤独や孤立で悩まれている人に向けた相談先一覧を公表しています。
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodoku_koritsu_taisaku/soudansaki_ichiran.html

一番辛いときは、何をする気力も起きないかもしれませんが、少し心と体が回復したら、頼れる場所を探してみてくださいね。

SNSで人とつながる

実際に人と会う気力がないなら、SNSで人とつながるのがおすすめです。
家にいながら、手軽にたくさんの人との交流が持てます。
SNSならば、あなたと同じ悩みを抱える仲間が見つかるでしょう。
実際に交流をしなくても、「自分と似ている人がいる」とわかるだけでも、少し孤独感は解消されます。

ただし、SNSは諸刃の剣。
無法地帯だからこそ、あなたを傷つける人が現れるリスクがあります。
インターネットを通じた交流は、「自分のためになる人とだけつながる」という割り切りが必要です。
相手がどこのだれかわからなくても、言われた言葉に傷つく心配があるなら、別の方法を探しましょう。

収入を増やす

身も蓋もありませんが、お金には孤独感を凌駕するパワーがあります。
強い孤独感を解消したいなら、人との関りを強めるよりも、収入を増やす努力をした方が手っ取り早いかもしれません。
本業があるなら、そこでの収入アップを目指したり、副業を始めたりしてみましょう。

仕事は人とのかかわりの中で発生します。
真剣に収入を増やそうとすると、自然と人との関りも増えるものです。
金銭関係が前提ならば、相手に過度の期待をせずに済みます。
「裏切られるかも」という恐怖心も緩和できるでしょう。

仕事だからこそ、「利益を得る」という共通の目標があるため、人間関係もシンプルです。
人との関りで大きな孤独を感じているなら、仕事は一歩踏み出すのに最適の場と言えるでしょう。

ボランティア活動をする

体が元気で体力的に問題がないなら、ボランティア活動をするのも良いでしょう。
ボランティアは完全に与える側に立つ活動です。
あなたはボランティアとして与えられた仕事を黙々とこなすのみ。
しかし、それが誰かの役に立ちます。

金銭的な利益はなく、それどころか交通費や滞在費がかかり、あなたの時間と労力は消費される一方です。
それでも、「社会の役に立った」という達成感は、あなたにとって大きな自信になります。
社会との希薄な関係は、孤独感の大きな原因の1つです。
無心で誰かのために行動することで、自分の存在価値を感じられるでしょう。

社会への扉はいつでも開いている

強い孤独を感じると、「誰も助けてくれない」「誰からも必要とされない」と思ってしまいがち。
しかし、社会への扉はいつでも開いています。
まだ出会っていないだけで、あなたを必要とする場は必ず存在します。

孤独な状況に陥ると、「もっと辛い目に合ったらどうしよう」と恐いですよね。
特に、大きなトラブルの後なら、不信感も強まるでしょう。
それでも言わせてください。
世間は意外と優しいです。
あなたが手を差し伸べれば、引き上げてくれる支援がきっと見つかります。
自分から社会に背を向けず、どうかもう一度踏み出してみてください。
あなたの孤独が癒えることを、心から願っています。

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