未婚率、既婚率は、職業によって変わるのでしょうか。
今回は、2020年(令和2年)国勢調査の25~49歳男性のデータを使用し、以下の値を算出しました。
- 未婚、有配偶者別の正規雇用率、非正規雇用率
- 未婚、有配偶者別の職業区分
果たして、職業は男性の未婚率に影響があるのでしょうか。
算出したデータを元に、男性が結婚しやすい職業を考察します。
目次
2020年25-49歳男性の就業形態
令和2年国勢調査の結果によると、25-49歳で仕事をしている男性の総数は約1400万人、内880万人が既婚(有配偶者)、約550万人が未婚者です。
25-49歳男性の未婚、既婚の就業形態は、以下のようになります。
正規雇用 | 派遣社員 | パート・アルバイト等 | 役員 | その他 | |
未婚 | 72.4% | 4.2% | 12.2% | 2.2% | 9.1% |
既婚 | 83.5% | 0.9% | 1.8% | 6.0% | 8.0% |
25-49計 | 79.2% | 2.1% | 5.8% | 4.5% | 8.4% |
参照:令和2年国勢調査「第3-1表 男女,年齢(5歳階級),配偶関係,労働力状態,従業上の地位別就業者数(15歳以上)-全国,都道府県,21大都市,特別区,人口50万以上の市」から算出
既婚者の9割は正規雇用、あるいは役員で、残りは殆どが事業主を含むその他です。
既婚者の非正規雇用(派遣社員、パート・アルバイト等)は、わずか2.7%しかありません。
一方、未婚者は既婚者と比較し、圧倒的に非正規雇用が多くなります。
未婚者の16.4%が非正規雇用を占めているのです。
グラフ化すると、どの就業状態に未婚者、既婚者が多いのか、よくわかります。
男性の就業状態と結婚の関係性のポイントをまとめました。
- 収入が高いほど既婚率も高まる(役員が最も既婚率が高い)
- 非正規雇用、特にパート・アルバイトの未婚率が顕著に高い
- 正社員の未婚率、既婚率は就業状態に関わらず男性全体の未婚率、既婚率とほぼ同等
やはり、雇用の安定は結婚に大きく影響するのでしょう。
女性から非正規雇用が不人気なだけではありません。
「安定した職業に就いていないのに、結婚を申し込めない」という、男性の責任感も、非正規雇用の未婚率が高い原因の1つだと考察します。
2020年職業区分別25-49歳男性の未婚率・既婚率
就業状況ではなく、職業によって、結婚への影響はあるのでしょうか。
25-49歳男性を職業区分別に、未婚者、既婚者の割合を算出してみました。
既婚率の高い順に並べると、以下のようになります。
未婚率 | 既婚率 | |
金融業,保険業 | 24.8% | 75.2% |
公務(他に分類されるものを除く) | 25.7% | 74.3% |
電気・ガス・熱供給・水道業 | 28.9% | 71.1% |
鉱業,採石業,砂利採取業 | 29.2% | 70.8% |
建設業 | 30.7% | 69.3% |
不動産業,物品賃貸業 | 34.2% | 65.8% |
教育,学習支援業 | 34.9% | 65.1% |
漁業 | 36.4% | 63.6% |
学術研究,専門・技術サービス業 | 37.0% | 63.0% |
医療,福祉 | 37.6% | 62.4% |
卸売業,小売業 | 38.5% | 61.5% |
製造業 | 39.3% | 60.7% |
複合サービス事業 | 39.8% | 60.2% |
運輸業,郵便業 | 40.0% | 60.0% |
生活関連サービス業,娯楽業 | 41.6% | 58.4% |
情報通信業 | 44.1% | 55.9% |
宿泊業,飲食サービス業 | 45.0% | 55.0% |
農業,林業 | 46.0% | 54.0% |
サービス業(他に分類されないもの) | 47.8% | 52.2% |
既婚率が70%を超えたのは、「金融業、保険業」「公務(公務員)」「電気・ガス・熱供給・水道業」「工業、採掘業、砂利採取業」です。
非情にわかりやすく安定して高収入が得られる職業ばかりです。
一方、既婚率55%を下回るのは、「宿泊業、飲食サービス業」「農業、林業」「他に分類されないサービス業」となっております。
「農業、林業」は、地方の嫁不足が大きく関わっているのでしょう。
問題なのは、宿泊業、飲食サービス業を含むその他サービス業の未婚率の高さです。
最も未婚率の低い「金融業、保険業」と比較すると、なんと20ポイント以上も差があります。
これらのサービス業の未婚率が高いのは、非正規雇用率が高いことが大きな原因と考えられるでしょう。
既婚率が高い職業は、男性の非正規雇用が少ない職業でもあります。
男性の結婚は、職種よりも就業状況が非常に大きく関わっていることがわかる結果です。
男性が結婚しやすいのは安定して高収入が得られる職業
男性が結婚しやすい職業は、以下の通りです。
- 金融業
- 保険業
- 公務員
- エネルギー業(電気、ガス、水道などのライフライン)
身もふたもない結果ですが、結婚できる確率を上げるには「安定した高収入の職業に就く」のが最も有効な方法と言えます。
裏を返せば、やはり結婚する人口を増やすには、若者世代の雇用の安定と収入アップが不可欠ということです。
少子化を解決したいなら、国は早急に対策を打つべきでしょう。