結婚したくない若者が増える原因を内閣府の調査結果から読み解く

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日本は単独世代国家である。
2020年の単身世帯は、なんと38%で、全世帯の中でダントツトップだ。
昭和55年の19.8%と比較し、およそ倍に増えている。

【2020年の世帯状況】
単独:38.0%
夫婦と子供:25.0%
夫婦のみ:20.0%
一人親と子供:9.0%
3世代等:7.7%

引用:https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/11th/pdf/2.pdf

2020年の50歳時点の男性の未婚率は24.6%で、1985年の3.7%から急激に増加している。
日本ではずっと少子化が問題視されているが、根本的な問題は若者が結婚しない非婚化だ。

なぜ、若者たちは結婚したくないのか。
結婚を選ばない彼らは、無責任で自分勝手と言えるのか。
今回は、内閣府男女共同参画局が作成した「結婚と家族を巡る基礎データ」を元に、考察していこう。

参照:内閣府男女共同参画局「結婚と家族を巡る基礎データ」

結婚したくない若者が増える原因4つ

結婚したくない若者が増えるのは、個人の意識変革が理由の1つに挙げられる。
しかし、それだけではない。
社会的背景に、若者が結婚に明るい未来を見出せない原因が多数隠れているのだ。
まずは、結婚したくない若者が増える原因を考察する。

専業主婦になるのが難しい

昭和の時代、「女性は結婚すれば三食昼寝付き」と揶揄されるほど専業主婦が当たり前だった。
「仕事から解放されたい!」と思う女性にとって、結婚は最終手段だったのだ。

しかし、現在専業主婦は夢の職業である。
2021年では、妻が65歳以下の世代だと、専業主婦率(男性雇用者と無業の妻から成る世帯)は僅か28%で、年々減少傾向である。

もちろん、結婚後も仕事を継続したい女性もいるだろう。
しかし、専業主婦率の下降と共に未婚率が上昇しているのだから、関連性はあると考えるのが妥当だ。

専業主婦が減少しているのは、男性の収入減少が大きな原因と言えるだろう。
女性の有職率は、配偶者男性の収入が低いほど優位に上昇している。

夫が30-39歳時の収入を見ると、以下のような結果が出ている。

【夫の収入と妻の有職率】
100万円未満:68.2%
100-199万円:73.3%
200-299万円:75.4%
300-399万円:72.9%
400-499万円:68.7%
500-599万円:62.6%
600-699万円:56.3%
700-799万円:54.6%
800-899万円:50.8%
900-999万円:49.0%
1000-1499万円:48.5%
1500万円以上:40.1%

引用:https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/11th/pdf/2.pdf

やはり、夫の収入が低ければ、妻は生活のために働かざるを得ない。
もちろん、収入関係なく働いている妻も多いだろうが、「充分な収入があれば本当は専業主婦がいい」という女性もいる。
このような女性は、あえて苦労を買って出るような結婚はしないだろう。
「共働きで大変になるくらいなら、気ままな独身貴族がいい」という女性が、結婚に消極的になるのは必然である。

共働きでも女性の家事育児時間が圧倒的に長い

「共働きは当たり前だ。専業主婦希望なんて今時ワガママだ」と文句を言う層もいるだろう。
しかし、女性が共働きを敬遠するのは、確固たる理由がある。
夫の家事育児の時間が顕著に短く、結婚後の共働き女性は「仕事・育児・家事」の3重苦が待っているからだ。

夫正規雇用・妻正規雇用世帯 夫の1日における時間配分(就学前)
仕事:451分
家事:23分
育児:約50分

妻の1日における時間配分(就学前)
仕事:247分
家事:139分
育児:約180分

引用:https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/11th/pdf/2.pdf

同じ正規雇用という条件でも、女性が仕事をセーブし、家事育児を大きく担うのが今の流れだ。
しかも、一度出来上がった流れは、女性がフルタイムで完全復帰した後も続く。
「育児家事は妻が基本」という意識が夫に染み付き、妻の労働時間が増えても、夫の家事育児の時間は全く増えないのだ。

もちろん、家事育児を完全に分担し、お互いが満足している夫婦もいるだろう。
しかし、今の日本は妻に大きな負担を強いているのが現状だ。
良く見える世界が「仕事も家事も育児もしてボロボロの女性」であれば、結婚をためらう心理が働くのは仕方がないだろう。

それでも希望はある。
年齢が若くなるにつれ、夫婦が家事を半分ずつ分担する割合が増えているのだ。
専業主婦とサラリーマンの夫婦がモデルケースだった時代の価値観は残りつつも、少しずつ行動変容は起こっている。
自分の立場を守りたいおっさんが「家事は妻の仕事。家事をさせられてるなんて、お前はダメな奴だ。いいから仕事しろ」などとアホなことを言わず、家事のために帰宅する男性社員を応援する社会になってほしい。

結婚を優遇する制度が減少傾向にある

「結婚して一人前」という昭和の価値観は、独身者を追い詰める原因になり兼ねないので、廃れていくのは正解だ。
しかし、個人の自由が尊重されると共に、結婚を優遇する制度が減少しつつある。
扶養家族を持つ労働者への特別手当「家族手当制度」の導入企業は、年々減少傾向だ。

家族手当制度がある事業所の割合
2005年:83.1%
2010年:79.8%
2005年:76.5%
2020年:75.9%
2021年74.1%

引用:https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/11th/pdf/2.pdf

まだまだ家族手当導入企業は多数派だが、確実に減少の一途を辿っている。
独身者から見れば「扶養家族がいるだけで手当てが貰えるのはズルイ」となるだろう。
しかし、発想を転換すると「結婚するメリットがない」と考え、非婚化の原因になるとも言える。

万が一離婚した場合ひとり親生活がハードモードすぎる

非情にネガティブな考え方だが、結婚する前に離婚したときのリスクを考える人もいる。
子供が生まれてから離婚しひとり親になるリスクを考えて、結婚に前向きになれない人もいるだろう。

日本のひとり親生活は、異常なほどにハードモードである。
特に母子世帯の経済状況は最悪だ。

母子世帯の現状
就業率:81.8%(正規47.7%、非正規52.3%)
平均年間就労収入:200万円(正規305万円、非正規:133万円)
養育費受取率:24.3%

引用:https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/11th/pdf/2.pdf

これでは、安心して子育てができない。
日本のひとり親世帯の貧困率は、なんと48.1%!
OECD加盟35か国中34位という体たらくである。

今や日本の離婚率は3割越え。
慎重な人ほど、簡単には結婚を決意できないだろう。

ちなみに、日本の子育ては夫婦そろっていても、なかなかにハードである。
筆者には中学生と小学生の子供がいて、夫は平均収入を上回る会社員だが、子供の進学費用を必死で貯金している最中で節約必須。
老後資金2000万円など夢のまた夢である。

結婚したくない若者の結婚への意欲を高めるには何をすべきか

結婚したくない若者が増えているのは、社会背景だけが原因ではないだろう。
職業選択の自由、男女平等など、個人を尊重する社会に変革するにつれ、「自由を奪われたくない」という意識が高まったのも、非婚化の原因だと筆者は考える。
これについては、以下の記事を読んで欲しい。

恋愛したくない若者に潜む自己中な心理と社会への閉塞感…本当の原因とは?

だからこそ、個人の自由に任せていたら、日本の非婚化は止まらない。
非婚化が進めば、当然少子化はブースト音状態で加速していく。
子供が生まれない社会は、衰退の一途を辿るだろう。
日本の未来のためにも、やはり若者が結婚への意識を高めるのは必須だ。

では、結婚したくない若者の結婚への意欲を高めるには、一体何をすべきなのだろうか。
絶賛子育て中の筆者が、データの考察と共に、持論を展開させていただく。

若者の収入を増やす

若者が結婚をためらうのは、経済的な問題が非常に大きい。
年収が高いほど、既婚率が高まることから、データが証明している。

30-39歳男性の年収別有配偶率
100-149万円:26.4%
200-249万円:36.2%
300-399万円:59.6%
400-499万円:70.7%
500-599万円:78.6%
600-699万円:81.3%
700-799万円:86.0%
800-899万円:81.3%
900万円以上:91.1%

引用:https://www.gender.go.jp/kaigi/kento/Marriage-Family/11th/pdf/2.pdf

妻が大黒柱となり、夫が専業主夫になる家庭もあるが、日本の現状はまだまだ夫の収入に頼っているのが多数派だ。
やはり、妊娠出産で強制的に一定期間働けなくなる女性は、自分だけの収入では生活に不安が過ぎるだろう。
若者が結婚するには、結婚生活に不安がないほど潤沢な収入が、特に男性に必要である。

もちろん、男性の家事育児参加率が高まり、女性と男性の収入格差がゼロになり、出産育児休業中手厚い手当があれば状況は変わる。
若者全体の収入を上げながら、結婚、特に出産育児の支援制度を充分に確立するのが、非婚化を止めるためには必要だろう。

結婚している夫婦に家賃補助を行う

結婚しない選択は損得勘定でもある。
若者の多くは「このご時世、結婚しない方が安全」と考えているのだ。
若者の思考を変えるには、社会が変わるしかない。
「結婚すると無理ゲーを強制される社会」から「結婚すると得ばかり。独身でいる方がずっと損」と思わせなければならない。

そこで私が提案したいのは、結婚している夫婦への家賃補助(住宅ローン補助)である。
会社都合の単身赴任を除き、結婚世帯にはガッツリとした家賃補助を行うのだ。
地域によって家賃相場が変わるので、補助金額は一律には言えないが、都内なら毎月5万円くらいポイッと出してほしい。
これなら、同棲で止まっているカップルたちも結婚に踏み切るだろう。

もちろん、財政は困難だから、年齢制限は必要だ。
少子化を考えるなら、45歳未満の夫婦に限定するのが妥当なところだろう。
いやいや、非婚化を変えるには、35歳未満で良いのかもしれない。
皆急いで結婚し始めるに違いない。
これなら、財政的にも何とかできないか?

子供の教育費を完全無償化する

結婚が無理ゲーなのは、子育てがハードモードすぎるからである。
日本の子育て支援は数あれど、経済的勝者に貧困世帯は努力で勝てないのが現実である。
親世代の格差はもう諦めるとしても、これから大人になる子供には、平等にチャンスを与えて欲しい。

日本政府には、是非とも子供の教育費の完全無償化の決断を望む。
つべこべ言わずに、幼稚園から大学まで、教育費を完全無償化するのだ。
ここで所得制限を付けてはいけない。
親の差別化は、子供への差別につながる。
子供への支援は平等でなくてはならない。

子育ての不安は、教育費への不安でもある。
私がコツコツとwebライターで稼ぐのは、自分の為ではなく子供の教育費の為だ。
夫は日本の平均収入を上回るが、それでも都心で子供2人を育てるのは苦しい。
住宅ローン苦しい、塾や習い事苦しい、その上子供たちが私立高校や私大に進学するとなると、夫だけの収入では到底足りないのである。

だから、賢明な家庭程、子供の数を抑える。
誰もが知る一部上場企業で正社員として働いているのに、「子供は1人で精一杯。2人育てる経済的余裕がない」と言う人もいるくらいなのだ。

食費や衣類など、子供の生活費はどうとでもなる。
問題は教育費。
子供の将来を真剣に考える親ほど、教育費に比重を置くだろう。

子供は日本の将来でもある。
日本政府は親が子供にするように、税金を惜しみなく日本の子供たちに投じて欲しい。
自分が働いて収めた税金が、結果的に子供の将来につながるなら、私も納得できるぞ!

結婚したくない若者の心理を理解せよ

「最近の若者は…」と言う前に、現代の結婚の困難さを、国はもっと考えるべきだ。
収入増が見込めず、安定した職に就くのも難しければ、自分1人を養うだけで精一杯だろう。
「結婚して子供をもっと生むのだ」と、バブル時代の恩恵を受けてきた世代が言っても、何の説得力もない。

内閣府が発表している少子化社会対策大綱には、以下のような記載がある。

<基本的な考え方>
1.結婚・子育て世代が将来にわたる展望を描ける環境をつくる
2.多様化する子育て家庭の様々なニーズに応える
3.地域の実情に応じたきめ細かな取組を進める
4.結婚、妊娠・出産、子供・子育てに温かい社会をつくる
5.科学技術の成果など新たなリソースを積極的に活用する

引用:https://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/law/pdf/r020529/shoushika_taikou_g.pdf

実にフワッとしている。
あいまいに何となくいいこと言ってる気分になっているだけだ。

いいから金をかけろ。
保護者に金をばらまくのではなく、子供が過ごす場所そのものにお金を投資するのだ。
親の子育てスキル、社会スキルの格差が広がっているのに、子供の将来のためのお金を親全員にばらまく判断は間違っている。

なんなら児童手当は完全撤廃でもいい。
その代わりに、大学まで完全無償化を進めて欲しい。
とにかく、子供がダイレクトに享受できる環境を作るのだ。
その上で、結婚の後押しだ。

国が本気で子育て世帯を支援する姿勢を見せれば、若者たちも少しは前向きになれるだろう。
子育て世帯と若者への支援は、日本政府の急務である。

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