2020年国勢調査から最終学歴と未婚率の関係性を読み解く

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「高学歴の男性は結婚しやすく、高学歴の女性は結婚しづらい」という説があります。

日本では男性が上方婚(自分より学歴や収入の高い女性との結婚)を、女性は下方婚(自分より学歴や収入が低い男性との結婚)を、敬遠する傾向があると言われていますが、果たして本当なのでしょうか。

今回は、2020年(令和2年)の国勢調査から、最終学歴と未婚率の関係性を考察します。

なお、この記事で作成されたデータは、全て2020年(令和2年)国勢調査「第11-1表 男女,年齢(5歳階級),配偶関係,在学か否かの別・最終卒業学校の種類別人口(15歳以上)-全国,都道府県,21大都市,特別区,人口50万以上の市」を参照し、作成しております。

2020年最終学歴別未婚率(既婚率)

今回は、より最新でリアルな現状を把握すべく、25-49歳までのデータを参照しました。
なぜならば、50歳以降になると、結婚した時期が恐らく20年以上前の層が非情に多くなり、現在の結婚事情とは大きくかけ離れていると推測したからです。

まずは、2020年の国勢調査のデータを使用し、男女別、最終学歴別に未婚率(既婚率)のを見ていきましょう。
なお、「未婚」は1度も婚姻歴がない人、「既婚」は現在配偶者がいる人で過去の死別や離別を問わないことを、定義としております。

2020年最終学歴別未婚率(既婚率)【男性25-49歳】

2020年男性(25-49歳)未婚者と既婚者の最終学歴別構成比は、以下のようになっています。

それぞれの構成比を見ると、学歴が低くなるほど未婚率が高いことがわかります。
未婚は中高卒で41.6%に対して、既婚は34.5%となっています。

それぞれの構成比を最終学歴別に比較すると、更にわかりやすくなります。

中卒が最も未婚率が高く、学歴が上がるにつ入れて既婚率が増えていきます。
ただし、25歳と49歳では、25年離れているので、この間に最終学歴と未婚率の関連に変化があるかもしれません。
そこで、30-35歳と、45-49歳で構成比を比較してみました。
(25-29歳では、男性全体の既婚率が低いので、30-35歳と比較)

30-35歳では、中卒の未婚率が最も低くなりました。
これは、中卒は社会的自立が早く、婚期も早いことが原因と推測します。
高卒では未婚率が高いですが、短大・高専卒以上では殆ど差が見られません。

一方、45-49歳では、学歴が高くなるほど未婚率が綺麗に下がっています。

この結果から推測できることを、以下にまとめました。

  • 結婚が早い男性は、学歴の影響をあまり受けない
  • 若い世代は結婚に必ずしも高学歴を求めていない可能性がある
  • 総合的に見ると、学歴が高くなるほど既婚率も高くなる
  • 特に40代後半では、学歴と結婚の相関性が顕著に表れている

高学歴の既婚率が高いのは、収入が高く安定した職業に就いている人が多いことが大きな要因と考えられます。
年齢が上がる程、「夫は大黒柱」という価値観が強いのでしょう。

職業分類別の既婚率を見ても、安定して高収入が得られる職業ほど、既婚率は高いです。
職業別の未婚率、既婚率については、以下の記事にまとめています。
男性未婚率の高い職業低い職業2020!結婚しやすい職業は何?

2020年最終学歴別未婚率(既婚率)【女性25-49歳】

2020年女性(25-49歳)未婚者と既婚者の最終学歴別構成比は、以下のようになっています。

男性とは違い、女性は大学卒以上の未婚率が高くなっています。
短大・高専以下の学歴では、未婚率、既婚率の差はほとんど見られません。

それぞれの構成比を最終学歴別に比較してみましょう。

25-49歳女性で最も未婚率が低いのは短大・高専卒、次いで高卒で、大きな差はありません。
一方、大学卒、大学院卒と学歴が上がるにつれ、未婚率は高まっていきます。

では、30-34歳と45-49歳で比較してみましょう。

女性も男性と同じく、30-34歳では中卒の未婚率が最も低くなります。
一方、短大・高専卒の未婚率は低く、大学院卒の未婚率は高い値になっています。
高卒と大卒には殆ど差が見られません。

45-49歳では、中卒の未婚率が最も高くなっています。
ついで大学院卒の未婚率が優位に高く、高卒、短大・高専卒、大学卒は同程度です。

この結果から推測できることを、以下にまとめました。

  • 女性の大学院卒は、他の最終学歴と比較し優位に未婚率が高い
  • 女性の中卒は、若い年代では未婚率が低くなるが、総合的に見ると未婚率が高くなる
  • 最も未婚率が低いのは短大・高専卒

男性の傾向とは逆転現象が起こっています。
やはり、男性は上方婚を、女性は下方婚を敬遠する背景があるようです。

ここからは、私の勝手な推測(邪推)です。
女性の短大・高専卒の未婚率が最も低いのは、総数が多いこともさることながら、男性の「自分より低く、かつ人に言っても恥ずかしくない学歴」として、丁度いいイメージがあるからではないかと考えます。
学歴を意識している男性ほど、「妻は高卒なんだ」とは言い辛いのでしょう。
(ちなみに私の最終学歴は高卒です)

日本はまだまだ学歴社会なのです。

過去の価値観を壊さなければ婚姻数は増えない

女性の大学進学率は年々上昇し、男性との進学率の差は大きく変わらなくなっています。
「男性は上方婚を、女性は下方婚を好まない」という過去の価値観を持ち続けていれば、結婚相手が見つからないのは必然です。
今のままの価値観では、婚姻数は減る一方でしょう。

婚姻数を増やすには、男性も女性も今までも価値観を壊さなければなりません。

「オレが働き、妻は家庭を守り、家計は補助的にパートでも出てもらう」
「私は家を守るから、夫にはバリバリ働いてもらわなきゃ」

これらの価値観は、個人的に持つ分には問題ありません。
自分に合う相手を探せばいいだけですから。
ただ、同じような価値観を持っている人が多ければ、競争は激しくなるでしょう。
なぜならば、男性が下方婚を望み、女性が上方婚を望んでも、男女の学歴差が殆どなくなっているからです。

結婚できる可能性を広げるには、臨機応変に行動し、ストライクゾーンも広げるのが必要があります。
男性は「自分より妻の稼ぎが良いなら、家事や育児を自分がメインで担うことも考える」、女性は「夫と家事育児は折半し、自分もバリバリ働いて稼ぐ」など、自分の行動の選択肢を増やすだけで、結婚対象となる相手が大幅に増えるでしょう。

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